背景画像は,鶴崎亜紀子様のコラージュ作品「太陽: Solar」です。
まずは,日本のプロ野球に関するとても大雑把な整理を。
いわゆる一軍・二軍選手(支配下登録選手)は,セパ両リーグ12球団を合わせて最大840人(1球団70人まで×12球団)。そのうち一軍選手は,最大336人(1球団28人まで×12球団)だそうです。
無理矢理な比較ですが,一軍選手だけを見ると,47都道府県にわずか7名ずつしかいないという計算。
プロ野球選手の中でも,一軍に定着して公式戦で活躍し続けることがいかに大変なことかがうかがえます。
また,毎年多くの選手が,戦力外通告による引退などによって新たな人生を歩み出すので,そもそも,プロ野球選手であり続けること自体も同様です。
さらに球団によっては,一軍・二軍選手以外の選手枠として,育成選手(背番号が3桁)が存在します。彼らは,「ファーム」と呼ばれる二軍の本拠地で,支配下登録を目指して研鑽を積んでいます。
そして,ファームの試合では,ホームチームのファンは,ときにビジターチームの選手にも交代の際などに惜しみない拍手を送ります。
そこは,球団という枠組みを超えて,将来のプロ野球を担う人材を応援する場所でもあるからです。
前置きが長くなりました。
この曲は,福岡ソフトバンクホークスの選手であった方への応援ソング。
現役時代に渡せなかった応援ソング。
まだ若い彼がユニホームを脱いで新たな道に進むことを知ったとき,お話さえしたことがない方を応援するとは何だろうかと考えこみました。
でも,彼の本質的な価値は,プロ野球選手のユニホームを着ているかどうかで左右されるものでありません。
むしろ人目を惹く立場から退き,第二新卒のように新天地で挑戦を続けているであろう今こそ,そのはなむけとして届けたいと思い至りました。
歌いだしの「あの高い空」とは,かつて福岡ソフトバンクホークスのファームであった福岡市にある「雁の巣球場」をモチーフとしています。
広大な空が見渡せるとても開放的なロケーションですが,かえってそういう場所に身を置くと,気持ちが大きくなる半面,人の存在のちっぽけさの感じ方もひとしおです。
物語は,夢の一軍戦の大舞台に立った投手の「僕」が,その初球を投げるまでのわずかな間に,長かったファーム時代の光景が駆け巡り,今とあの日々,そして支え続けた「キミ」の姿が行き交います。
ピアノアレンジは,野球少年を描いた映画の主題歌ならばというイメージのダイナミックな展開を感じる脱バラード。
これに可憐なアルパ(南米パラグアイのハープ)を添えていただきました。
挑戦を続けるみなさまへ
A Bit More to Reach! あと少しで届く!
Vocal: Misako Kita(関東で活動中のシンガーさん)
Piano (Piano Version・Band Version) and Arrangement (Piano Version): Tohru Yamaguchi
Arpa (Piano Version): Chika Kobayashi
Violin (Band Version): Nozomi Nagata(ブラボー音楽教室)
English Lyrics and Translation: picolisco
Photograph: kiiroitori
あの高い空を 今,ふと思い出す
遮るものがない だから不安で
そして
この高い空の下には
未来(あす)も過去(きのう)もない
今があるだけ
ただ,それだけ
風は強い方がいい 力をくれるから
遅れてわかることだけど
“あと少し,届く”と祈りの言葉が
歌のように 僕を包んだ
太陽の軒下で
溢れだす 今,記憶の岸辺に辿り着いた言葉が
あの日のように 僕を包む
ここにキミと立ってる
なにひとつも 無駄なものはない
僕を見てよ 疑うのならば
空を見て夢を見た僕を見て
道は荒い方がいい 近道になるから
今ならわかることだけど
“あと少し,届く”と祈りの言葉が
傘のように 差し掛けられた
止まない雨はないと
溢れだす 今,記憶の岸辺に辿り着いた言葉を
明日(あした)の僕に届けてくる
そこにキミも待ってる
なにひとつ
ただひとつ
迷わない
Just remembered that sky way up high
There' s nothing to block, so that makes me anxious
And then
Under the sky so high
There' s no tomorrow or yesterday
There' s just now
That' s only it
The stronger the wind is, the better it is
It gives me power
It's something that I realize later, though
“A bit more to reach” the words of prayer
Covered me just like a song
Under the sun
Just now, words that came into my memory overflow
It covers me just as same as the other day
I' m standing with you
There' s nothing useless
Just look at me if you doubt it
Look at me, who was looking at the sky with a dream
The rougher the road is, the better it is
It' s actually a shorter way
I know it now
“A bit more to reach” the words of prayer
Protected me just like an umbrella
There' s no rain that won' t stop
Just now, words that came into my memory overflow
I' ll deliver them to tomorrow' s me
You are there waiting, too
There' s nothing
It' s the only thing
I won' t hesitate
I just remembered that blue sky so high
Came suddenly in my mind
There' s nothing to block my sight
So this stage makes me anxious
And then now
Under this blue sky so high and that' s where I am
There' s no tomorrow or yesterday
Now' s the only thing right here, that' s it
That' s only it
Stronger wind is better for me, you know
Gives me great power to get over
It is something that I realize later, though
“A bit more to reach” echoed in me
It was your voice, words of prayer
Covered me like a song, warmly and vigorously
Under the sun so hot and super bright
All the words that came into my memory
They start to overflow just as same as the other day
And they cover me all up, gently and firmly
I' m here with you, standing with you
There' s nothing fruitless
Truly none at all in our lives
Just look at me straightly
Look at me if you' re doubting me
Look at me in here, I have a big dream, looking at the sky
Rougher road is better for me, you know
It' ll be a shorter way in the end
It is something that I understood recently
“A bit more to reach” echoed in me
It was your voice, words of prayer
Protected over me like wide opened umbrella
Raindrops will stop falling eventually
All the words that came into my memory
They start to overflow and go toward tomorrow' s me
Let' s go and tell these nice words, clearly and heartily
I'm sure you' ll be there waiting for me
There' s nothing fruitless
This is only thing
I would never stop
今あの青く高い空を思い出した
突然自分の脳裏に入ってきた
ここには視界を遮るものはない
だからこの舞台は不安にさせる
そして
この青く高い空の下 それが今いる場所
明日も昨日もない
ここにあるのは「今」だけ それだけ
ただそれだけ
自分には強い風の方がいい そうだろ
乗り換える大きな力をくれる
後になってわかることだけど
「あと少しで届く」 僕の中で響いた
それはあなたの声で 祈りの言葉
歌のように僕を包んだ 温かく 力強く
とても暑く とても明るい 太陽の下
僕の記憶に入ってきた全ての言葉
あの日のように 溢れだした
そして僕を包んだ 優しく しっかりと
僕はあなたとここにいる 一緒に立っている
無駄なものなんてない
私たちの人生には一切ない
ただ僕を真っすぐ見て
疑っているなら僕を見てよ
ここにいる 空を見て 夢を見ている 僕を見て
自分には荒い道の方がいい そうだろ
最終的には近道になるから
最近になってわかったこと
「あと少しで届く」 僕の中で響いた
それはあなたの声で 祈りの言葉
大きく広がった傘のように僕を守った
雨粒はそのうち落ちるのを止める
僕の記憶に入ってきた全ての言葉
溢れだして 明日の僕へと向かっていく
これらの素敵な言葉を伝えに行こう はっきりと 心から
あなたがそこで待ってくれていると信じている
無駄なものはない
ただこれだけ
僕は立ち止まらない