背景画像は,鶴崎亜紀子様のコラージュ作品「チョウ: Butterfly」です。
Movie: 灰路(haiji)様
まずは,個人的な備忘として,新型コロナウイルス(COVID-19)に関するごくおおざっぱな経過を整理してみました。
以下,厚生労働省のWebサイト上の情報を横断したものです(リンク先含む。2020年10月26日現在)。
[2019年12月以降]
中華人民共和国湖北省武漢市において,原因病原体が特定されていない複数の肺炎の発生が報告される。
[2020年1月9日]
WHO(世界保健機構)が,原因病原体が新種のコロナウイルスである可能性が高まったことを報告する。
[1月15日]
国内1例目となる感染者が確認される。
[1月30日]
WHOが,「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態の宣言」をする。
*世界の感染者数 合計7,794 (死亡者数170)
中国 7,711 (170),日本 9 (0),米国 5 (0),フランス 5 (0) ほか
[3月11日]
WHOが,世界的な大流行を意味する「パンデミックの宣言」をする。
*同月9日の世界の感染者数 合計10万8千 (3819) 以下1万超えは千未満切り捨て
中国 8万 (3,119),日本 488 (7),米国 433 (17),フランス 1,126 (19),インド 34 (0) ほか
[4月7日]
新型コロナウイルス感染症緊急事態が宣言される。
これにより,外出の自粛の協力要請や,都道府県立学校の休業等が求められる。
*「国民の生命及び健康に著しく重大な被害を与えるおそれがあり,かつ,全国的かつ急速なまん延により国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれ
がある事態が発生したと認められる。」として,5月7日までを期間とするもの。
*緊急事態措置を実施すべき区域として,埼玉県,千葉県,東京都,神奈川県,大阪府,兵庫県,福岡県
[4月16日]
緊急事態措置を実施すべき区域が,全都道府県に変更される。
以後,状況に応じて,区域や期間が変更される。
*前日の世界の感染者数 合計194万(12.4万)
中国 8.2万 (3,342),日本 8,582 (136),米国 60.2万 (2.5万),フランス 10.3万 (1.5万),インド 1万 (353) ほか
[5月25日]
緊急事態解除が宣言される。
[9月24日]
*世界の感染者数 合計3174万(97.4万)。
中国 8.5万 (4,634),日本 8万 (1,532),米国 693.3万 (20.1万),フランス 46.9万 (3.1万),インド 564万 (9万) ほか
[10月22日]
*中国 8.5万,日本 9.4万,米国 821.2万,フランス 93万,インド 765.1万 ほか
その他,「禍」としかいいようがない日常生活への深刻な影響が生じていることは,ご承知のとおりです。
・・・・・・
さて,本曲です。
ピアノとギターの掛け合いを特徴とする疾走感のあるピアノロックができました。
初のインスト曲です。
入念に演出された緩急や色彩に富む花火大会に臨場しているようなアレンジは,関西で活動中のピアニストREN様の手に拠ります。
上記の経過を振り返ると,「人前で呼吸をすることが憚れるーまさに息が詰まるような閉塞感」に捕らわれていた(いる)気がします。
その先行きが見えないやり場のなさは,「ヤー!」と思いっきり缶蹴りでもして晴らしたい気分です。
そんな中,タイトルを「息吹(いぶき)」と決めて温めていた本曲を形にしようと思い立ちました。
折しも息吹には,「1 息を吐くこと。呼吸。 2 生気や活気のあること。」(デジタル大辞泉 小学館)の意味がありました。
このように,「息」が一つのキーワードとなる時代の備忘的な意味合いもある曲です。
CDカバーのデザインについても少々。
タイトル面のモチーフは,「Psyche(プシュケー,プシュケ,プシキ)」です。
これは,ギリシア・ローマ神話では,愛の神「Cupid(キューピッド,クビド)」の妻となる女性として知られています(2世紀のローマの作家アーブレーイユス作『黄金の驢馬』)。
モチーフを探していた際,ほしおさなえさんの傑作シリーズ小説『活版印刷三日月堂』(ポプラ文庫 全6巻)と出会いました。
すると,その第2巻に収められたお話『ちょうちょうの朗読会』の中に,朗読グループの名前が「プシュケー」に決まる瑞々しい場面が(57p)。
そこから,連続性がある移り変わりー遷移ーの想を巡らせました。
そして,福岡市総合図書館のレファレンスサービスのお力を得て時を翻り,少し学術的な由来も探ってみました。
結果,次のとおり,「プシュケー」は,図らずも「息吹」のイメージに連なりそうなことがうかがえもしたところです。
・「元来,魂,息,生命を意味する語であり,神話に語られるプシュケはこれらの概念が擬人化された女性である。」
(原書房「世界女神大事典」318p 2015年)
・「その名は古代ギリシア語で<魂>の意」,「普通名詞のプシュケーはもともと<息を吐く>という動詞に由来する語」
(平凡社「世界大百科事典」548p 2009年改訂新版)
・「プシュケは化身してチョウになった。古代のギリシア人は,人間の霊魂は1つの生命から他の生命に移るとき,飛ぶ虫の身体を借りると信
じていたからである。」
(大修館書店「神話・伝承事典-失われた女神たちの復権-」656p 1988年)
・「プシュケは翼を持ち(中略),魂のために天と地上を移動できると信じられている。」
(青土社「元型と象徴の事典(新装版)」667p 1998年)
下の見開き的な画像をご覧ください。
左側のクレジット面に,空缶を蹴る男性を置いています。
宙を滑る空缶は,立ちはだかる壁を突き抜けて右側のタイトル面に移り,翼を持つプシュケーを模した女性像にスイッチします。
さらにその指先から放たれたものが蝶となって舞い,活気あるステージへと移り行く。
そんなイメージを組み絵的に表わしました。
ウイズコロナが続くにしろ,アフターコロナを迎えるにしろ,少しでも早く穏やかな日常が取り戻せますように。
Piano: REN (Anddy Mule)
Bass: ユニ (Anddy Mule)
Arranged, Mixed and Mastered: REN (Anddy Mule)
Special Thanks: FUKUOKA CITY PUBLIC LIBRARY SECTION RC1
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