背景画像は,鶴崎亜紀子様のコラージュ作品「星: Star」です。
次の3つの音源は、ドイツ生まれの音声ファイル共有サービス ” SoundCloud(サウンドクラウド) ” に置いています。
このページを離れて同サイトに飛び、私のチャンネルでお聴きいただくこともできます。
( 著者: 坂月さかな先生 パイコミックス )
『星旅少年』1巻 坂月さかな
書影:株式会社パイ インターナショナル
☆彡 はじめに ☆彡
(以下ネタバレを含みます。)
私は、本の「あとがき」をとても楽しみにしています。
順番が逆かもですが、物語の中にお邪魔する前、作者様と挨拶を交わすことができるような気がするから。
特に、本書のあとがきは、本が大好きだった作者様の原体験を踏まえて、本書の居場所ができることを願うという内容です。
もうそれだけで、一つの掌編のように感じました。
さて、本書の3番目のお話「夜天図書館」は、夜にだけ開館する、とある星の図書館の物語です。
館内の移動は、通路代わりの水路を手漕ぎのゴンドラで往来します。
そして、晴れた夜には、開かれた天井の遮光ドームから月や星々の光が降り込み、水路に映るのです。
またなんと、あちこちに寝台まで設置されています。
本好きの間で、この世の生を終えたら、ゴーストになって図書館に住みたいなんて話が出ることを思い出してしまいます。
登場人物は、次の3人です。
・ プラネタリウム・ゴースト・トラベル文化保存局(PGT社)の特別特派員「星旅人」こと登録ナンバー「303」
(私は、「さんまるさん」と読んでいます。)
・ 館長である「先生」
・ 孤児となって先生と暮らすことになった「あの子」
(第4話で「ククロナ」と紹介されます。)
このお話は、つくづく静かな物語だと思います。
会話以外の生活音なども限られ、「チャプ」という水音が、アクセントとして際立ちます。
かつて、米国の往年のフォークロックデュオ「サイモン&ガーファンクル」は、「サウンド・オブ・サイレンス」(原題:The Sound of Silence)という名曲を残しました。
そんな私には、「夜天図書館」から、「サウンド・オブ・サイレンス」な音風景が聴こえてなりません。
☆彡 本曲について ☆彡
水は、あらゆる物質を溶かし込む性質があると聞きます。
(本サイトの「いのちの思い出」のライナーノーツでも触れていますのでご参照ください。)
加えて、鏡のような水面は、まさに鏡像を結びます。
私は、そのような水面(ここは「みずのおもて」と読みたいところです。)について、さざなみのように揺れ動く人の心のようなイメージを持っています。
前置きが長くなりました。
実質わずか3行の歌詞からなる本曲「星空の水面(みなも)」は、303がこの星を離れた後のいつかある日、星々の海を進みながら、先生との約束どおり、この図書館と巡り逢いを回想するお話です。
先生は、星が映る水面を「水中から見上げ」ます。
心が鷲掴みにされる情景でした。
そこで、これをモチーフとする音の栞を残したいと思いました。
歌詞のベースとなるのは、次のシーンやセリフです。
星空の水面(みなも)を見上げる ⇒112-113ページのシーン
寂しさと手を繋ぐ ⇒121ページのセリフ
覚えておきますね ⇒115ページのセリフ
ボーカルの終わりに、とあるものが落ちる音を置きました。
この下に置いた仮想のCDカバーについて少々。
タイトルの下には、ククロナを想う先生の涙。
そして、裏面には、落ちていった涙の欠片が紙飛行機のような航宙船に形を変えて、ククロナの元に飛び行く姿をあしらっています。
また、内側には、ククロナの大切な想いを引用させていただきました(100ページ)。
☆彡 おわりに ☆彡
本書は、上記のあとがきの願い事のとおり、私の枕元にそっと置かれています。
本が大好きな少女がそうであったように、いつでも1日の終わりに、別の世界に誘ってくれるのです。
こうしてまた、本を巡る物語は続いていきます。
Vocal: Synthesizer V AI Mai
Arranged,Piano, Mixed and Mastered: REN (Anddy Mule)
Guitar: よしの★
ボーカルは、合成音声の最先端を走る一つの「Mai」ちゃんです。
星空の水面(みなも)を見上げる君
寂しさと手を繋ぐ君
覚えておきますね
ゆら、ゆら…
タイトル面
クレジット面
内側
ファンアート:読了記念の栞ほか
坂月先生が御出演されたラジオ番組はこちら。
8分40秒頃から、偶然にも本曲にリンクするお話をされています。
J-WAVE『推しに願いを-Wish Upon A Star-』
「#19静かな夜を旅するようなSFファンタジー漫画『星旅少年』作者の坂月さかな先生をお迎え!」
ナビゲーター: 近視のサエ子様、ベーシストの川内啓史様
(2024.8.13放送 Spotifyのポッドキャスト版)